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南アフリカ
BABYBOX
南アフリカに初めて設置された「ベビーボックス」
ドア・オブ・ホープ(希望のドア)

 ドア・オブ・ホープは、ヨハネスブルクを拠点とする南アフリカの慈善団体です。ドア・オブ・ホープは1999年にべレア・バプテスト教会のシェリル・アレン牧師によって設立されたものです。ドア・オブ・ホープがベビーボックスと児童養護施設を運営しており、更に放棄された赤ちゃんと生みの親の再会に向けた取り組みや養子縁組関連の活動を行っています。南アフリカの法律上、安全であっても育児放棄は犯罪と見なされる為、ドア・オブ・ホープが運営しているベビーボックスと施設は全て違法な施設です。それでも、ヨハネスブルクにおける育児放棄の件数を減らすことと全ての子供の幸福な人生を送る権利を守ることを目的に、法に反して活動を続けています。
 アフリカは育児放棄の件数が世界最大級です。毎月およそ300人もの捨てられた赤ちゃんが救われ、また誰にも見つからずに亡くなる子赤ちゃんも何百人もいるでしょう。この状況を背景に、ドア・オブ・ホープはベビーボックスと児童養護施設を通じて1,613人もの子供に希望を与えました. このうち、約15%の子供はベビーボックス経由で預けられ、残りの85%の子供は警察、医療施設、社会福祉団体または生みの母より預けられます。ドア・オブ・ホープはこれまで669人の赤ちゃんを養子家族へ託すことに成功してきました。なお、今でもドア・オブ・ホープはベビーボックスと匿名出産の合法化と法的認定及びセーフヘイブン法の導入を訴え続けています。

FACT
南アフリカの状況

 世界で最も幼児遺棄率が高い国の一つであり、毎年約1万人以上の赤ちゃんが遺棄されています。そのうち3分の2以上は亡くなって発見されます。捨てられた子供の65%は新生児で、90%は1歳未満です。幼児遺棄の多くは中絶に失敗した赤ちゃんで、南アフリカでは、遺棄は重大犯罪とみなされていません。幼児遺棄が多い原因は、不法入国者の数、貧困、失業が多いこと、また避妊具や性教育の不足が挙げられます。12歳以上は親の同意なく中絶できますが、18歳以下は親の同意なく養子に出すことはできません。
 「ドア・オブ・ホープ」に賛同する児童活動家、児童保護施設、法定代理人や人権弁護士と共に、安全避難所法や匿名出生法の実施を通して安全な子供の預かり場所を容易に作れるよう政府に政策変更を働きかけています。
 課題は、どのベビーボックスも法に反して運営されていることす。母親が安全かつ合法的に、母親が希望すれば匿名で赤ちゃんことができる制度が必要です。また、「児童遺棄に関する統計が正確でない」「亡くなった子供は殺人としてではなく、死産として登録される」ことも問題で、政府は、危険な置き去りが国内で多発していることを把握するべきです。
 アフリカの法律は、母親が子どもを遺棄するしかなかった背景に注目おらず、防止策になっていないのが現状で、不法入国や貧困と失業を減らすための解決策を提示する必要があります。
 ベビーボックス否定派は「子どもに対する父親の責任放棄」「ベビーボックスに預けた母親が逮捕される恐れがある」「出自を知る権利を損なう」という意見です。

シンポジウム

※当動画は、第14回アジアヘルスプロモーション会議のPVから一部抜粋したものです。

発表者名 :Nadine Grabham
イベント名 :第14回アジアヘルスプロモーション会議
公演日 :2018年4月15日